報恩講初日10月18日午後7時の法要にお勤めするのが『往生礼讃 日没偈』です。
七高僧のお一人で中国の善導大師〈613-681〉がおつくりになられたもので、「一切衆生を勧めて、西方極楽世界の阿弥陀仏国に生ぜんと願ぜしむる六時礼讃の偈」という意味の偈文で、略して「往生礼讃」とも「六時礼讃」とも「礼讃」ともいいます。念仏の行者が日常、一日に六回、四時間おきの礼仏勤行することを勧められたもので、浄土教の敬虔な日常行儀を説き述べたものとして長く勤式に依用されました。六時とは、①十六時の日没(にちもつ)を起点として四時間ごとに、②二十時 初夜(しょや)、③二十四時 中夜(ちゅうや)、④四時 後夜(ごや)、⑤八時 晨朝(じんじょう)、⑥十二時 日中(にっちゅう)の六回をいいます。
蓮如上人の時代から、「正信念仏偈六首引」が制定され、「六時礼讃」に代わって、真宗門徒の日常勤行は朝、晩の「正信偈」のお勤めに定着していきました。
「往生礼讃、日没の無常偈」
人間悤々(そうそう)として衆務(しゅうむ)を営み、
年命(ねんみょう)の日夜に去ることを覚えず。
灯(ともしび)の風中にありて滅すること期しがたきがごとし。
忙々(もうもう)たる六道に定趣(じょうしゅ)なし。
いまだ解脱して苦海を出(い)づることを得ず。
いかんが安然(あんねん)として驚懼(ぎょうく)せざらん。
おのおの聞け。強健有力(ごうごんうりき)の時、
自策自励(じしゃくじれい)して常住を求めよ。〈 意味 〉
人間はあわただしく日常生活のさまざまな勤めをあくせくと営み、あっという間に月日が過ぎ去ってしまうことをなんとも思っていない。
ローソクの火が風の中にあっていつ消えるともわからないよ
うに、次々と六道の世界を輪廻(生まれては死にを繰り返す)して、落ち着くところが無い。
いまだに苦しみの世界を出て、悟りの世界に到ることが出来ない。どうして、日々をぼんやりと過ごし、驚き恐れずにいることが出来ようか?
おのおのよく聞け。健康でいられる時、自らつとめはげんで、一日も早く涅槃の悟りを求めよ。
このお言葉を肝に銘じて、お聴聞を続けさせていただきましょう。
*報恩講の準備
おみがき
毎年、10月1日は「おみがき」といって報恩講をお迎えするに当たり、仏具のお掃除をしていただきます。輪灯、ローソク立て、金香炉、華瓶、お仏飯器など約50種のお磨きをいたします。ピカールという真鍮磨きを布に付けて磨くと、黒くなってこびりついた煤やほこりがきれいに取れて、元の美しい輝きを取り戻します。
ほこりを取り、ピカールで磨き、半紙と白い布で仕上げ磨きをする。ローソクの付いたものはガスコンロで温めて蝋を溶かしてきれいにふき取ってから、磨きます。お手伝いいただく婦人会の役員様方の手は、軍手をはめて作業をしますが、軍手が真っ黒になります。
報恩講仏婦役員会
報恩講のご案内を担当地区のご檀家の方にお配りいただく大切な役員会です。準備や当日の役割分担を決めたり、お忙しい時間を割いてのご奉仕です。今年の記念品は「拝読 浄土真宗のみ教え」という西本願寺が親鸞聖人750回大遠忌を記念に作られた、現代版ご文章です。大変読みやすくみなさんに親しみやすい読み物となっています。ぜひご活用下さい。
大掃除
今年は10月15日、朝9時30分から打ち合わせをして、それぞれの場所のお掃除にとりかかります。本堂、お内陣、外陣、廊下、欄干、庫裏の各部屋の大掃除です。その後、お内陣の打敷(掛け布)を卓に掛け、供物の準備です。ご本尊にお供えする落雁は、1,200個ありますが、それを丁寧に積み上げていきます。大変で慎重な作業です。
花生け
法要前日の10月17日朝8時に池坊の奈良県支部長をされた西窪先生においでいただきお花の生け込みです。本堂用の大きな華瓶に6杯生けてもらいますが、高さも2メートルくらいになりますので、たいへんご苦労いただきます。午後からは、庫裏の各お部屋や大玄関の生け込みです。先生のお山から取ってきていただいた季節の花をふんだんに使い力強く、優しく特徴を出したお花が生け込まれていきます。
このように、多くの方々のご協力のもと報恩講をお迎えすることができます。紙面をおかりして御礼申し上げます。ありがとうございました。
10月18日から20日までの3日間7法要に多くのご門徒が御参詣いただき、高田慈昭先生の御法話に感動され尊いご縁をいただきました。ぜひ御本堂にお参りください