* アインシュタイン博士と仏教
先日、安倍晋三首相が、国会演説でアインシュタイン博士が日本に来日したときの言葉を引用していました。それは、「日本人が本来もっていた、個人に必要な謙虚さと質素さ、日本人の純粋で静かな心、それらのすべてを純粋に保って、忘れずにいてほしい。」という内容でした。
アインシュタイン博士が日本に来日したのは1922年(大正11年)の秋11月17日です。日本へ来る船上で「ノーベル物理学賞」の受賞の報せを聞き、喜びの中の来日でありました。全国各地を講演する毎日の中で、日本の仏教に関心を持っていた博士はかねてより仏教の話しを聞きたいと思っていました。そこで博士と対談した方が、浄土真宗僧侶 近角常観(ちかずみ じょうかん)師でした。
そこで、博士は「仏さまとはどういうお方ですか?」との質問をされ、それに対して近角先生は「姥捨て山」のお話をされました。
昔、信濃の国では、親が年を取って一定の年齢になると、食い扶持を減らすということで、山に捨てに行かなければならない掟のある時代がありました。
息子が、やむなく年老いた母を背中に背負って、山の奥へと上っていく途中に、母は手に触れる木の枝を折っては道に落とし、を繰り返していました。息子はその様子を感じながら「母はまさか、寂しくて村に帰ろうとするときにこの折った枝を頼りに山を降りようと目印に枝を折っているのではあるまいか?」と母を疑っていたようです。ところが、山の捨て場について、いよいよ母を捨てて帰ろうとするそのときに、母は息子に言いました。「山もだいぶん奥まで来て、お前が村に帰るときに道に迷わないように枝を折って道に落としておいたからそれを頼りにしていけば間違えることなく帰れるから、気を付けて帰れよ。」と、合掌して別れを告げたそうです。その言葉を聞いて息子は泣き崩れ「なんと私は恐ろしいことを考えていたのだろう。わたしは母を捨てよう、帰ってきてもらっては困ると考えていたのに、母は見捨てられるのにも関わらず私のことを案じていてくれる。」と、母に両手をついて謝り、母を再び背中に乗せて山を降りたということです。
古歌に 「奥山に 枝折る しおりは 誰がためぞ 親を捨てんと 急ぐ子のため」とあります。近角先生はアインシュタイン博士に「この母の姿こそ仏様の姿であります。」と話されたそうです。
どんな状態にあろうとも自分の事は一切顧みないで、ひたすらわが子のことをのみ考え心配している姿。今まさに自分を捨て、殺そうとまでしているわが子を見捨てることが出来ず、どうにかして救いたいとする姿。これこそが真実の大慈悲の仏さまの心であると話されたのです。アインシュタイン博士は、帰国に際して「日本には仏教というあたたかく深い宗教がある。こんなにも素晴らしい教えに出会えたことは、私にとって何にも勝るものである。」と、語られたそうです。
ご報告 御礼
新潟県中越地震 震災復興
明鏡寺本堂庫裏周辺整備 落成慶讃法要 平成18年10月15日(日)
2年前の平成16年10月23日(土)午後5時56分に発生いたしました新潟県中越地震で被害を受けました副住職の実家であります明鏡寺に対しまして、ご門徒の皆様からあたたかいお見舞い・義援金を賜りまして改めまして衷心より御礼申し上げます。ありがとうございました。
おかげさまをもちまして、去る10月15日に明鏡寺本堂庫裏周辺整備 落成慶讃法要を営むことが出来ました。これもひとえに皆様方の尊いご懇念によるものであります。明鏡寺のご住職、総代方、役員さん、ご門徒の皆様一様に「淨教寺さまのおかげです。どうぞよろしくお伝え下さい。」と、喜んでおられました。
ここに、落成慶讃法要の様子と完成した本堂・内陣等の様子を写真でお知らせいたします。