浄土真宗門徒の心得

勤行と聴聞

仏教徒・浄土真宗門徒としてのたしなみは勤行(おつとめ)とお聴聞(み教えを聞くこと)です。これは車の両輪です。
みずからすすんでお勤めすることを勤行といいます。浄土真宗の勤行は、すべて仏徳を讃嘆し、仏恩をよろこぶ報恩のいとなみであります。聴聞とは、仏さまの智慧と慈悲のこころを聞き続けることです。親鸞聖人は「聞」の字を聞というは、衆生仏願の生起本末を聞きて、疑心あることなし、これを「聞」という(意味:『仏説無量寿経』に「聞」と説かれているのは、阿弥陀仏が衆生救済の願を起こされた由来と、その願を成就して現に我々を救済しつつあることを、わたしたち衆生が聞いて疑いの心がないのを「聞」というのです。)と、お示し下さっております。

勤行の内容

「朝にお正信偈、夕げに阿弥陀経」という古くからの言い習わしもありますように、朝、目覚めたら顔を洗い、身だしなみを整え、炊きたて一番のご飯をお仏飯(ぶっぱん)として盛り、お供えしますが、その際に点火(てんか)、点燭(てんしょく)、供香(ぐこう)、供飯(ぐはん)という順番があります。つまり、一番最初にお仏壇の輪灯に火を入れます(これは、灯芯を使っているお家です。現在は大部分が電灯になっていますのでスイッチを入れてください)。二番目にローソクに火をつけます。三番目にお線香に火をつけ、香炉にくべます。四番目にお仏飯をお供えします。このようにお荘厳が出来たら、門徒式章をつけ、左手に念珠(数珠)を持ち、経卓(きょうじょく)に経本を置き、合掌礼拝して勤行をはじめます。
勤行(おつとめ)は、「正信偈 念仏和讃六首引」または「仏説阿弥陀経」を基本といたしますが、「讃仏偈(さんぶつげ)」や「重誓偈(じゅうせいげ)」をお勤めしていただいても結構です。
お経の本のない方はお申し出下さい。お経のテープも用意しておりますのでご活用下さい。
毎朝・夕におつとめをされているお家はぜひ続けてください。お勤めをされてないお家では、ぜひ今日から始めてください。お経には何が書いてあるのかな?と疑問に思ったらご質問下さい。そこからお聴聞が始まります。勤行と聴聞の車の両輪が回り始めます。
お腹から声を出してお勤めすることは、健康にも好いと思います。

礼拝の心得

すべての礼法のおこないは、姿勢を正しくすることから始まります。かたち正しければ心正し、心正しければかたち正し。常に左手に念珠(数珠)を持ち、姿勢を正し、心に礼仏恭敬の念を深くします。

礼仏恭敬の心得を西本願寺第20代宗主の広如上人(1797~1871)は、次のように示されておられます。心して受け止め、常に念じたいものです。
「木画の尊像(お木像、ご絵像)、これを拝すること真のごとくせよ(真の仏様と見て礼拝せよ)
一念の往生(聞く一念で往生間違いなし)、これを信ずること実のごとくせよ
報恩の称名、寤寐(ごび)(寝ても覚めても)に忘するることなかれ
謝徳の勤行、晨昏(じんこん)(朝・夕)に廃する(さぼる)ことなかれ
三時(朝・昼・夜)の飲食(おんじき)(食事)、家族共に用う
一時(朝お供えする)の仏飯、あに疎懶(そらい)(おろそかにならないように)ならんや
吾座は常に払う(掃除する)、いかにいわんや仏室(仏間・仏壇)おや
吾衣は時に裁つ(繕う)、いかにいわんや仏帳(仏壇のご本尊の前の御簾や打敷など)おや
香はすべからく清浄なるべく、燭(ローソク)はすべからく明朗なるべし
花をして枯しむるなく、器をして穢しむるなかれ(常にきれいにしておく)
さらに師恩を重んじ、かつ世教(世間の道徳)に随え
家職を妨ぐることなく(家庭を大事に)、深くこれを思量せよ(皆のお蔭と感謝する)」

1、姿勢

(1) 座った姿勢:腰を正しくすえて、上体を真直ぐに保ち、左手を上にして組みひざの上に置きます。
(2) 立った姿勢:かかとをそろえてつけ、上体を真直ぐに保ちます。両腕は自然に垂れます。
(3) 腰かけた姿勢:十分深く腰かけ、つま先を閉じ、上体を真直ぐに保ちます。手は座った姿勢と同じ。

2、合掌礼拝の仕方

堅実心合掌と言い、両手に念珠をかけて、掌を堅く合わせて、丁寧にお礼をします。

3、念珠・経本の扱い

念珠は仏様を礼拝する法具であります。経本は仏様そのものと思って大切に取り扱います。畳の上や歩行の場所に直接置かず、置くときは扇子または座布団等の上に置きます。また、それらを持って、トイレなどに行ってはいけません。

2005年03月01日 法話
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