4月5日の花まつり子どものつどいで院主さんが、ジャータカ物語の中の「シビ王とはととたか」の話をして下さいました。ジャータカ物語とは、お釈迦様がお生まれになる前の世界で、たくさんのよい行いを積んできた出来事をまとめられたもので、サルの王様になったり、鹿になったりウサギの姿をしたり、といろいろな世界に生まれられて、他のものたちが喜んでくれるために、生きることのすばらしさ、功徳の尊さを教えて下さる物語です。そのようなたくさんの尊い功徳の積み重ねによって、お釈迦様という偉大なお方がお生まれになられたのです。
「シビ王とはととたか」
むかし、むかし、インドにシビ王という王様がいました。ある日、お城の窓から鳩が入ってきてシビ王の所にやってきました。「王様、助けてください。今私は、鷹に追われて逃げてきたのです。」シビ王は鳩をかくまってやりました。そこに、鷹がやってきて、「シビ王よ、今鳩がここに逃げてきたはずだが私に返してほしい。」と、言いました。今鳩を返せば鷹に食べられてしまう。そう思った王様は「返すことは出来ない」と、言うと、鷹は「私はもう何日も食べ物を食べておらず、このままではお腹がへって、死んでしまいます。シビ王、あなたは鳩は助けて、この私は死んでもかまわないと言うのですか?」その鷹の言葉を聞いて、シビ王は困ってしまいました。しばらく考えて、シビ王は、「それでは私の肉を食べてもらおう」と、考えて自分の足のもも肉を鳩の大きさと同じ位切り取って鷹に差し出しました。それを見た鷹は少し驚きましたが、すかさず「王様、それでは肉が足りません。」と言いました。確かに鳩の大きさと同じ位あるのですが、王様は仕方なく、反対の自分の足のもも肉を切り取って、先程の肉に足して差し出しました。鷹は「まだ足りません」と言うものですから、王様は家来に秤を持ってこさせました。そして秤の皿に鳩をのせ、反対の皿に自分の足のもも肉を二切れのせました。もも肉の方が重いはずですが、鳩のほうが重く下にさがっています。王様は家来に「この秤は壊れているのではないか?新しい秤でもう一度量ってみよ。」と、言いました。家来は新しい秤で量ってみましたがやはり先程と同じで鳩のほうが重いのでした。王様は「おかしいなー」と、首をかしげながら静かに考えました。そして、王様は「あ、わかった。」といって、自分が秤にのりました。するとどうでしょう。王様の方が重いはずなのに、秤は釣り合いがとれて同じ重さを示しました。そうです。みなさんもわかりましたよね。鳩のいのちも、王様のいのちも、鷹のいのちも、鳥のいのちだから軽いとか、人間のいのちだから尊く重いという違いは無いのです。みんないのちの重さは同じなんだよ。大人も子供も、蝶ちょや、トンボも、草や木も花もみな同じ重さなんだよ。と言うことに王様は気づいたのでした。王様は、鷹に言いました。「どうぞ私を食べて元気を出して下さい。」すると、鷹は帝釈天に姿を変えて「シビ王よ、あなたはいのちの尊さに気づいてくれた。そして、自らのいのちを私にささげてくれた。あなたの行いは本当にすばらしい、あたたかな行いである。あなたはきっと仏さまになられるでしょう。」と言って、王様の行いをほめたたえました。
このお話を聞いて、子どもたちもシビ王の行いにビックリしていましたし、また、「僕だったら出来へんなー」「やっぱりお釈迦様はえらいんやなー」と言う感想をもらしていました。
どうぞ、「ジャータカ物語」は淨教寺本堂の貸し出し図書の本棚にありますので、ぜひ、ご活用下さい。