7月15日淨教寺の行事で、滋賀県をバスで巡ってきました。
最初は、草津市の「水生植物公園みずの森」でたくさんのめずらしい植物を鑑賞させていただきました。園内に入ると蓮や睡蓮の鉢植えと顔ほどもある大きなタイタンビカス(ハイビスカスのような)の花が出迎えてくれました。園内はモネの睡蓮の絵を彷彿とさせる素晴らしい庭園でした。湖岸に出ると群生している自生の蓮を楽しむことができました。
温室の中には、仏教にゆかりの深い①釈尊誕生のおりにお母さまが手を伸ばされた無憂樹(ムユウジュ)、②お悟りを開かれた菩提樹(インドボダイジュ)、③涅槃に入られた場所にあったといわれる沙羅木(サラノキ)、④お釈迦さまの伝道活動をたたえる、最も生命力にあふれる木として尊ばれる如意樹(マンゴ―)、⑤お釈迦さまもこの木のように人を集め説法されたということで、人々の集う木 槐樹(エンジュ)が「仏教五木」としてイラスト入りで紹介してありました。蓮と睡蓮の違いや、たくさんの種類の蓮が一目でわかるように栽培されていました。家族でのお出かけにはおすすめのスポットです。
その後、湖岸道路を湖の景色を眺めながら近江八幡市の本願寺八幡別院にお参りいたしました。海辺のような景色を楽しみながら国民休暇村にて昼食の後、近江八幡市内でお土産を見ました。
伊藤忠兵衛記念館と豊郷小学校
午後からは、近江商人の足跡をたどってきました。伊藤忠商事の創業者・伊藤忠兵衛の生家、丸紅専務の古川鉄次郎が寄進した豊郷小学校を見学しました。近江商人の特徴は「三方よし:売り手よし、買い手よし、世間よし」といわれます。「商売は菩薩の業(わざ)」との認識のもと「仏法繁盛のためのお手伝いを、お商売でさせていただくのである」という精神で努力していかれました。お店が始まる前と後には必ず店員の皆さんと「正信偈」をおつとめされたそうです。自分だけ儲けて贅沢三昧ではなく、正直・勤勉・倹約・質素を心がけ、むしろ地域社会に還元していくという精神を大切にしていきました。それが小学校、病院の寄贈につながっていきました。中でも目を引いたのが豊郷小学校の手すりのブロンズの置物でした。
そうです、写真のようにイソップ物語の「ウサギとカメ」です。「油断することなくコツコツと努力することの大切さ」を伝える素晴らしいものだと思います。
法雷教校(法城寺)
また、豊郷小学校の近くに「法城寺」さまがあります。そこは淨教寺を戦後30年にわたりご教化いただきました稲垣瑞剱先生の「法雷学派」の源流「法雷教校」があったお寺です。法雷学轍初祖光明坊断鎧師(山口県萩のお生まれ)の教えに出遇い、第二祖である瓜生津隆英勧学が法雷社を安政4年(1857)に結び、後続を養成する学寮として「法雷教校」へと展開していきました。隆英和上晩年の高弟に第3祖となる桂利剱和上がおられ、利剱和上の愛弟子として稲垣瑞剱先生が学ばれ、今日に法雷の学風を伝えていただいております。瑞剱先生のご令息、瑞雄先生が龍谷大学教授として教鞭の傍ら、ロンドン大学において仏教学の講義をされ、ヨーロッパに浄土真宗の拠点ができる基礎を作られました。大谷光照西本願寺前々門様による国際仏教文化協会(IABC)の中心となられ、現在そのあとを佐々木恵精「法雷」誌編集主幹(元京都女子大学教授)が引き継いでいただいております。また瑞剱先生のもとで野瀬瑞黙先生が学ばれ、その弟子である瑞覺さんによって香港・台湾・中国に親鸞聖人の教えが正しく伝えられ人々の大きな心の支えとなっています。
近江商人の中に息づく浄土真宗の教えの尊さ、普遍性をあらためて感じさせていただく一日でした。
私たちも親鸞聖人の歩まれた「生死出づべき道」を、たゆみなくコツコツと歩ませていただきましょう。