みなさんのお家で勤められる法事を思い出してみてください。
(次項の「法事を勤めるときの心得」をご覧ください。)
読経の響きの中に、仏恩に感謝し、ご親戚とのお話の中に、故人を偲び、ご恩に感謝する大切な法要です。故人を知らない若い世代の者は、故人を知っている方々からその人となりを教えていただき、「私のおじいちゃんはこんな方で、こんな言葉を残してくださったのか」と心に刻むことができる大切な機縁となります。
報恩講とは、親鸞聖人のご法事です。ですから、私たちは、親鸞聖人の人となりを知る必要があります。自分で本を読んで知ることも大切ですが、やはり親鸞聖人のご恩を偲ぶ「報恩講」にお参りして本堂に座り、お勤めをして、ご法話をお聴聞することによって、親鸞聖人のご苦労、足跡を教えていただくことは家では感じることのできない大きな意味があります。
そんな大切な法要が「報恩講」です。ですから、浄土真宗の門徒である方々は、絶対に「報恩講」には何はさしおいてもお参りしなければいけないのです。お参りしなければ「私は浄土真宗の門徒です」とは、本当は恥ずかしくて言えないのです。そのくらい大切な法要が「報恩講」なのだという覚悟をもってお参りしていただきたいと思います。
蓮如上人は『御一代記聞書』の中で、
一日のたしなみには、朝つとめにかかさじとたしなむべし。一月(ひとつき)のたしなみには近きところ、御開山様(親鸞聖人)のご座候ところへ参るべしとたしなめ。一年のたしなみには御本寺へ参るべしとたしなむべし。
毎日のたしなみは朝お仏壇にまいり、お勤めすること、月に一回はお手次の寺にお参りすること、年に一回はご本山(西本願寺)へお参りすることが「門徒としてのたしなみ」であると教えてくださっています。また、
「仏法には明日と申すことあるまじくそうろう。仏法のことは急げ急げ。」
「仏法のうえには、明日のことを今日するように急ぎたること、賞翫(しょうがん)(ほめること)なり。」
今を大切に、人間に生まれ、親鸞聖人の教えに導かれて、阿弥陀如来の救いの法「南無阿弥陀仏」に出遇えたことを慶び、真剣に聴聞しなければならないという、厳しいご催促です。ぜひとも「報恩講」にお参りください。
法事を勤めるときの心得
常に過去帳と年回表を見て、法事に当たってないか確認する習慣をつけましょう。法事に当たっていた場合、以下の流れとなります。
①ご住職になるべく早く日時の相談をする。(一年前からご相談される方もおられます。)
②案内状を送り、出欠をとって当日の法事の準備に入ります。
③前日までに供物(お餅、お菓子、果物)の用意をする。
④参詣者へ持って帰っていただくお供養の選定をする。
⑤お仏壇の掃除をして、仏具のおみがきをする。
⑥ローソク、お線香、お焼香用の香、香炭、仏花を確認し用意する。
当日の流れ
①お寺に確認の電話を入れる。(前日まででも良い)
②お仏壇のお荘厳を確認し、炊き立てのご飯「お仏飯」をお供えする。
③参詣者にお茶、お菓子をお出しする。
④ご住職(お寺様)が着かれたら、ご案内して着替えていただく。
(その間にお茶、お菓子をお出しして、施主から挨拶をする。)
⑤施主または家のものがお仏壇のローソクに火をともし、お線香を点けて香炉に入れる。お焼香用の香炭に火をつけて香炉に入れる。
⑥準備が出来たら、施主から挨拶をいただき法事を始める。
挨拶例「本日は、父○○の○○回忌に当たり、みなさまお忙しきところをお集まりいただきありがとうございます。これから故人をしのんで淨教寺ご住職様からお勤めをしていただきます。よろしくお願いいたします。」
⑦お勤めの間に、参詣者の方々に「お焼香」をしていただきます。お焼香の作法は、香を押し頂かずに、一回、香をくべた後、合掌し「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏」と数回お念仏申して次の方に回してください。すべての方が終われば、ご住職の所に戻してください。
⑧ご一緒に、「正信偈」か「阿弥陀経」をお勤めすることもありますので、お経本があれば出しておいてください。
(無い場合は、これを機会に購入するか、お寺までご連絡下さい。)
⑨おつとめのあと、御文章の拝読、ご法話があります。静かにご拝聴下さい。
⑩ご法話が終われば、お茶、お菓子をお出しして、施主からお礼の言葉を述べて参詣者と時間があればお話しします。
⑪ご住職が着替えられたら、ご法礼(お布施)とお供養をお渡ししお見送りします。
⑫お斎(食事)がある場合、事前にご住職もご一緒していただけるか確認しておきます。(ご一緒出来ないときは「お膳料」としておつつみしてお渡しします。)
以上の流れになります。時間はだいたい約一時間から一時間半です。
その他、故人を偲ぶ写真や物品があれば当日出して、お話のきっかけにされるのもよいでしょう。また、非常に小さい時が大事です。子どもさん、お孫さんは積極的にその場に座らせていただくようにお願いいたします。そしてお供え物も「お下がり」として子どもさんたちが喜ぶものをお供えして、ご褒美としてお渡しいただくのも結構だと思います。