永代経法要・淨教寺瓦について

永代経法要って何? 

「永代経」ってどういう内容のお経ですか?という質問を受けることがありますが、普段お勤めしている「阿弥陀経」や法事の時にお勤めする「大経(仏説無量寿経)」というお釈迦様の説法をまとめたものとは違います。「永代経」という名前のお経があるのではありません。

「永代経」とは「永代読経」の略と言われ、「永代に(末永く)お経が読まれ続けていく」という意味です。永代に、永遠にお経(お釈迦様の教え、親鸞聖人の示されたお念仏のお救い)が子々孫々に有縁の方々に伝えられていきますようにとの願い、またその教えが説かれる道場であるお寺の本堂が永遠に護持されますようにとの願いが込められた意味が「永代経」の心でありましょう。
その願いと志を持ってご門徒のお気持ち(お金や物品(仏具や畳、イス)など)をお寺に納めるのが「永代経懇志」です。そのご門徒のご懇志を受けて、お寺が開く法要が「永代経法要」です。

しかし、「わが家は、跡を継ぐ者がおりませんので、永代経を納めてお寺でお勤めしていただきますので、私たちは何もしなくても安心です。」とおっしゃる方もおられますが、浄土真宗で言う「永代経」は1回納めたらお寺さんにお任せという「はい、これでお終い」的な永代供養という感覚のものとは意味を異にします。
故人の追善供養のために納めるという意味よりも、むしろ故人との別れの悲しみをご縁として、故人から送り届けられたお経を今私は「こんなにも素晴らしいお釈迦様の教え、親鸞聖人のお念仏のおこころを聞かせていただき、ありがたいことである」そしてこのお経(教え)を有縁の方々と一層聞かせていただけるようにとの願いの中に納められるものが「永代経懇志」であり、その願いを受けて勤められる法要が「永代経法要」であり「ご法座」です。

お念仏のみ教えを私に伝えてくださったご先祖のご遺徳を偲び、おつとめをし、お焼香をしていただき、何よりも私自身が聞法に励んで、その感動を自らが味わい喜び、子々孫々に有縁の方々に伝えていくことこそが「永代経法要」の大切な意味であろうと思います。ぜひ、一座でもお参りいただき、これをご縁に永代経法要だけでなく、毎月のご法座にお参りくださいますようお待ち致しております。

 

本堂 屋根瓦について

①軒巴瓦の文様は、中宮寺から出土した7世紀初頭の古瓦をベースにした岸熊吉先生のデザインです。
これは蓮の花を紋様化したもので、中央部の蓮子の数、花弁の中央に稜がある点や花弁の間に珠玉
が配置されている事など中宮寺の瓦と非常によく似ています。花弁の数は8枚が多く用いられています
が(中宮寺の出土瓦は9枚)、淨教寺では10枚となっています。また、周囲に唐草模様をあしらってあるの
は岸熊吉先生のオリジナルです。
②軒唐草瓦は淨教寺の紋である「菊水」を模様化したものと考えられます。
本堂修復工事施工:伸和建設(株)

岸熊吉氏(1882-1960)は淨教寺のご檀家で、東京美術学校(現東京芸術大学)で建築を学んだ後、京都府や奈良県で古社寺修理に従事され、法隆寺国宝保存工事事務所の所長を務められた方です。古代史家の岸俊男氏(1920-1987)の父君です。現在修復している本堂の設計図面一式を作図して下さり、全てをご寄進いただくという大きなご懇念をお運びいただきました。(淨教寺開創750年記念誌より)

 

2014年05月01日 法話
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