阿弥陀さまのお正客

10月18日(金) 19日(土) 報恩講 勤修

「阿弥陀様の前に、お正客としてお参りさせていただいている有難さ。」という言葉があります。

お茶会では、主賓のことを「正客」と言いまして、一期一会の茶会には欠かすことが出来ないお役目の人のことを指します。
迎える側は、お軸、お道具、お菓子、床の間に飾る花を、その日の趣向に合うように取り合わせて、お茶をたててもてなすのです。

その準備たるやいろんな意味で大変です。
その亭主のおもてなしを、正客は具体的に、おたずねしてお話を広げてお茶会を盛り立てていく大切なお役目です。
そして、その道具の取り合わせも、居合わせたお客様も、毎回同じということは決してなく、その日、その時間、その瞬間、一度きりの機会です。このことを一期一会(いちごいちえ)と言います。

これは、お茶会に限ったことではなく、ご招待いただいた席では、大切にしていきたい心がけでしょう。

報恩講もしかりです。申すまでもなく、報恩講は親鸞聖人のご法事です。
寺族、院代、門徒役員がお迎えの準備をいたしまして皆さまのご参詣をお待ち致しております。そしてご法話をしていただくご講師の方を「布教使」と申し上げます。この意味は、「南無阿弥陀仏の御教えを流布していただく阿弥陀様、親鸞聖人のお使い(お手替わり)」ということです。ですから私たちは御法話を阿弥陀様、親鸞聖人のお言葉(お声)として聞かせていただくのです。

私自身が、私たちの(私一人を目当ての)救いを「本願力」とお示しいただきました阿弥陀如来様、親鸞聖人からご招待いただきました「お正客」なのです。

ご案内は、その「ご招待状」なのです。
ぜひとも、浄土真宗、淨教寺の門徒としてこの度の報恩講のご案内、また毎月の案内ハガキをお受け取りいただきました折には、「今月も阿弥陀様、親鸞聖人からのご招待が届いた」とのお気持ちでお受け取りいただき、ご都合をつけてご参詣いただきたいと思います。

掛け替えのない一期一会の尊きご法縁です。
私一人を救わんがために、どれほどのご苦労をしていただいたことか?
その、阿弥陀様、親鸞聖人のご苦労の、ご恩を偲ばせていただき、いのちをかけて「仰せをおおせのままに」お聞かせいただいていくことが何よりのお正客としての役目であり、ご恩報謝ではないかと思います。

 

稲垣瑞劔法師 記念館
アーネスト・フェノロサ博士 記念館
瑞翔庵 竣工

稲垣瑞劔法師、アーネスト・フェノロサ博士を顕彰し、資料を展示・閲覧できる研修施設としての記念館が完成いたしました。ここに前住職、記念館貫主の竣工式表白を掲載してご報告申し上げます。

 

淨教寺 瑞翔庵 竣工法要 表白

敬って西方願主阿弥陀如来に申して申さく
本日ここに恭しく如来の尊号を安置し、懇ろに聖教を読誦して淨教寺瑞翔庵竣工法要を勤修したてまつる。
不思議の縁により戦後の混乱期から、当山は三十有余年の永きに亘り稲垣瑞劒法師の御巡錫を蒙る。淨教寺の法類、門信徒は稀なる師のご化導にあづかり法味愛楽の佛徳を頂戴す。

師の学、高邁にして深奥、特に人類の宗教・哲学・倫理・文学に於いて卓越した識見と虚空の如き慈悲心を以てわれらを導きたもうた。全霊を以て佛陀を尊崇し、親鸞聖人に人類の究極の光りを発見したもうた。

瑞劒法師は、絶対的真理、究極の価値、永遠の生命を発見し体得せられた不滅の尊師と讃えても過言ではないと信じる。師の九十七年のご生涯はひたすら学・徳・信・熱の歩みであられた。国内に世界に、多くの浄土真宗信奉者が生れつつある。欧米、欧州、中国、南米、オーストラリアに求道者が生る。

師の膨大なる著述、千数百時間の録音テープ、御筆のもの(墨書)などの収納庫をつくるのはかねてよりの志願であった。本年、師の三十三回忌にあたり、中村建設の御尽力を得て、ここに瑞翔庵の完成をみましたこと幸慶きわまりなし。

別には明治のころ、排佛棄釈で荒廃した佛教と寺院・佛像の修復に尽力し、一方で「日本美術の父」と崇められた。アーネスト・フェノロサ師は明治二十一年、淨教寺で大講演会を開催された。師の意義と偉業を讃え、後世に伝えるべくフェノロサ学会を起ち上げられた山口静一先生の資料提供を得て、二階にその学習室を設置いたしました。

希くは、朝には手をたずさえ、聞法求道の歩みを運び、法音宣流の聖業にいそしみ、以って如来大悲の恩徳に応えまつらんことを…。
三宝 哀愍 攝受したまえ。

平成二十五年九月二十五日
淨教寺 瑞翔庵 貫主 前住職 釋 和麿 敬って申す

 

瑞翔庵 竣工式 写真

 

本堂屋根瓦 葺き替え工事 進捗状況 写真

2013年10月01日 法話
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