本堂は念仏の道場

本堂修復工事に先立ち、淨教寺本堂におきまして「淨教寺本堂屋根瓦葺き替え、耐震化工事 起工式並びに御本尊等ご遷仏・ご遷座法要」を6月27日木曜日午後2時より、お勤めいたしました。

これから、工事完了予定の平成27年3月末までは本堂が閉鎖され、仮本堂を庫裡に移して法要・行事等を行っていきます。その間ご不便をおかけ致しますがご了承ください。

ところで、本堂は、法要儀式を行う場所だけではなく、浄土真宗では「聞法の道場」と呼ばれます。
本堂は、内陣(主に僧侶がお勤めをする場所)と外陣(門信徒が参詣する場所)に分けられます。浄土真宗の本堂の特徴としては、内陣よりも外陣の方が広いということです。
淨教寺であれば内陣30畳、外陣70畳です。ちなみに西本願寺御影堂(親鸞聖人の御影像をご安置するお堂)は、内陣282畳、外陣441畳です。

他の宗派のお寺によっては、僧侶がお勤めする内陣のみで、外陣がない場合もしくはあってもごくわずかという所が多く見受けられます。これは僧侶の修行の場であるという意味合いが強いということでしょう。

浄土真宗の本堂が、「聞法の道場」であるということは、門信徒である皆様おひとりおひとりが、法に出会い、法を聞き、法を喜んでいく場所が本堂であるということです。

法とは、お釈迦様のお悟りの内容そのものであり、「法=真理・法則」そのものを自覚されたお釈迦様の教えが「法」と呼ばれ、それが教法として尊重されてきました。

浄土真宗の宗祖親鸞聖人は、浄土三部経(仏説無量寿経・仏説観無量寿経・仏説阿弥陀経)の中でも、『仏説無量寿経』が我々末世の凡夫にとりましては真実の教えであると断言されています。

聖人の主著である『教行信証』「教の巻」に

【1】つつしんで浄土真宗を案ずるに、二種の回向あり。一つには往相、二つには還相なり。往相の回向について真実の教行信証あり。
【2】それ真実の教を顕さば、すなはち『大無量寿経』これなり。この経の大意は、弥陀、誓を超発して、広く法蔵を開きて、凡小を哀れんで選んで功徳の宝を施することを致す。釈迦、世に出興して、道教を光闡して、群萌を拯ひ恵むに真実の利をもつてせんと欲すなり。ここをもつて如来の本願を説きて経の宗致とす、すなはち仏の名号をもつて経の体とするなり。

この「教の巻」の中に、救われ難き煩悩具足の凡夫が、真実のはたらき、南無阿弥陀仏を聞信する一念に救われていく道が簡潔に説かれています。
あらためて、この親鸞聖人のおぼしめしを深く受け止め、私の聞法の道場として仏法聴聞を続けさせていただきましょう。

道場という言葉は、梵語のbodhi-manda(菩提樹下の金剛座)の訳語で、仏道修行の場を指しました。これが転じて江戸時代の初め頃に武術の稽古場のことを指す事例も出てきました。稽古とは、古(いにしへ)を稽(かむがへ)ることであり、「照今」(今に照らす)とあわせ、「稽古照今」という熟語としても使用されます。 日本武術などの形練習においては過去の達人であった先人の遣った理想的な形に近づべく修練することであります。
武道、芸能に限らず、親方や師匠が教えることを、稽古をつけるといいます。また、単に学んだことを練習することも稽古といいます。稽古を積み研鑚を重ねることによって実力をつけていきます。
法(教え)を繰り返し繰り返しを聞くことが、聞法の道場における稽古であります。門信徒ひとりひとりの自覚として、朝・夕の礼拝。毎月の定例法座には必ず参詣するという意気込みで、仏縁を深めていっていただきたいと思います。

ここに、本堂修復起工式・ご遷仏法要の表白をご紹介し、皆様と共に無事なる工事完了を念じたいと思います。

淨教寺本堂屋根瓦葺き替え、耐震化工事 起工式 表白

恭しくおもんみれば当山、淨教寺は今を去ること770年の昔 宗祖親鸞聖人のみ教えを仰ぐ
行延法師を開基として、人々 相集い 大阪八尾に創建される。
その後、大和郡山 城村また九条の里に移り それぞれの土地の人々への教化を尽くす
現在の奈良、上三条の地に 伽藍(念仏の道場)を構えてより410年
現今の本堂は、昭和11年の本堂火災の後、当地門信徒の 懇念を結集して建立されしものにして
爾来ここに70有余年の月日を経たりき その間 伽藍は風雪に侵され
また平成23年3月11日の東日本大震災、9月の奈良県南部の豪雨水害等の災害を見聞きするなか 本堂屋根替え 地震への耐震化工事の機運高まり
親鸞聖人750回大遠忌法要の記念事業として 本堂屋根瓦葺き替え、耐震化工事の議 整い
この度、門信徒 並びに (株)伸和建設をはじめ有縁の業者の方々の協力によって
工事着手の時を迎え 本日ここに「淨教寺本堂屋根瓦葺き替え、耐震化工事 起工式」を
厳修いたす ねがわくは、阿弥陀如来、聖衆 護念(お見護り)のもと
門信徒、工事関係者 心を一つにして 本堂屋根瓦葺き替え、耐震化工事の事業に努め
めでたく修復完工の佳き日を迎えんことを  敬ってもうす

 

ご遷仏・ご遷座法要 表白

敬って 大慈大悲の阿弥陀如来の尊前に申してもうさく 本日ここに 有縁・参詣の人々相集まり
淨教寺本堂屋根瓦葺き替え、耐震化工事 起工式、工事着手に当たり
恭しく 仏前を荘厳し 懇ろに聖教を読誦して
本尊 阿弥陀如来ご尊像のご遷仏法要 並びに
宗祖親鸞聖人ご影像 伝灯諸師ご影像 ご遷座の法要を 厳修したてまつる
ねがわくは 如来の願力を仰いで 称名念仏おこたりなく
ますます聞法求道に励みて 法味愛楽の日々を送らんことを 敬って もうす。
2013年(平成25年)6月27日(木)午後2時 淨教寺本堂

2013年07月01日 法話
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