中国西安研修の旅

(2010年・7月3日~10日)
前住職 島田和麿

西安・善導大師のお寺・香積寺で「往生礼讃」を勤行

平成22年7月6日(火)午後4時、香積寺根本中堂で善導大師の「日没礼讃偈」を中国の門信徒百余名の方々と共に唱和いたしました。台湾から野瀬瑞黙先生、瑞覚さん(淨教寺衆徒)、日本から小生、王君(龍大大学院生・淨教寺衆徒)と、広島西法寺の亀山氏が参詣。王君が導師を勤めました。気温42度、快晴。白衣・黒衣五条を着用。しかし少しも暑さは感じませんでした。香積寺・西安中心部から南へ20キロ、寺院も周辺も立派に整備されておりました。善導大師のおわしましたところ、そこで「観無量寿経 註釈疏四巻」、「往生礼讃六巻」、「般舟讃」等を著された大切な聖地で大師の「礼讃」を誦すことは不思議としか言いようのないご縁であり、最大の感激であり、無上の幸慶でありました。ひとえに佛祖・師恩、法友のお陰と深く感佩いたしております。

 

西安学習会への道

中国は7月に入ると二ヶ月間、学校の夏休みに入ります。7月3日から8月25日まで50日間の日程で猛暑の季節ですが、野瀬先生・瑞覚さんを講師に学習会の計画がなされました。300名余の希望者がありましたが、会場の都合で数十人づつ参加します。主催の唯攝(ゆいせつ)さんは自宅を処分し準備に入られたと聞いております。
台湾・高雄出身の瑞覚さんは平成9年、宗門に入る決意をされ、それから熱心に自信教人信の実践行をつづけてこられました。ご存知のように平成12年には台湾に戦後初めて真宗寺院を設立し、平成16年頃から郷里・高雄で本格的寺院を建立中です。明後年、平成24年春に落成式の予定です。これまで門徒の方々にも大変ご支援をたまわりました。近代はインターネットで、また瑞覚さんは聖典を中国語に訳し出版・普及につとめてこられました。中国各地に浄土真宗に帰依する方が増え、この度の学習会が行われることとなりました。

 

参加の人々

若い人が多く、家族ぐるみで2週間の参加も幾組か。台北念佛会は10名、7月3日から16日まで、福建省・モンゴル近くからの参加者もありました。みんな明るく優しく情潔で純情の人でした。子供達も多く、キチっと学習しています。「みんな正信偈、ご和讃のおつとめは暗記していますよ」とのこと。それでは一緒に唱えましょうと大声でおつとめしました。「帰命無量寿如来・南無不可思議光・法蔵菩薩因位時・在世自在王佛所」と中国語でしっかり申していました。さて、ふりかえって日本に、当山の門信徒に何人おられるのだろうかと思うと…中国の人々に先を越されてしまうのではないかと。みんな真剣に浄土真宗を求めているのです。あらためて親鸞聖人は偉大であると深く思うことでございます。

 

前住職の日程

7月3日 午後9時30分
西安空港着  銅川市の宿泊所へ

7月4日 (研修所)
午前10時~12時 往生礼讃のお稽古
午後、玉華宮寺(玄奘三蔵法師の翻訳・ご往生の地)へ参拝
午後7時~9時 緑陰講座、野瀬師・瑞覚師 講師(質議多し)

7月5日 (研修所)
午前10時~12時 往生礼讃のお稽古
午後、薬王寺(石仏・漢方薬で著名)参拝
午後7時~9時
緑陰講座(正信偈・六首引きのおつとめのあと講話)

7月6日 (研修所)
午前10時~12時 往生礼讃のお稽古
午後1時出発―午後3時30分着
午後4時 「香積寺」で「日没礼讃偈」を勤行(百名を超える)
善導大師の廟所参拝
午後5時半 西安南郊、終南山近くの「光明寺」参拝
(善導大師、永らくご滞在。師を「光明寺の和尚」、「終南」とお呼びします)

7月7日 (見学会)
弘法大師の学ばれたところ「青龍寺」、玄奘三蔵法師の大慈恩寺「大雁塔」。
ここで経典が翻訳されました。廟所のある「興教寺」「興善寺」「碑林」「西安大学」などを巡りました。
まだまだ数々の由緒ある寺があり、さすが「西安」です。

 

壮大な寺域・環境整備に目を見はる

当山から昭和60年頃と、平成7年の二回、団体で西安を訪問しております。以前は各寺は古寺院のようであり、往く道は砂ぼこりが舞っておりました。しかし今回は違いました。各寺は立派に修復され、或いは拡大しておりました。特にシンボル寺院である「大雁塔」は周辺何万坪(?)往時を想わせる数多くの寺院風建築、庭園、玄奘三蔵法師の巨大な銅像、道路など至れり尽くせりの寺域の整備が完成しています。国を挙げて行っていることは大きな感動でした。さて、日本・奈良はいかがでしょうか。

2010年08月01日 法話
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